約3割が増員予定――今後を分析する
物流人材のひっ迫
物流・旅客業界の現場が、かつてない転換期を迎えている――。
レバレジーズ(東京都渋谷区)が実施した調査
(2025年11月6日発表)によると、ドライバー採用担当者・
経営者32ひとりのうち、約4割が外国人ドライバーを
雇用した経験があると回答した。
また、約3割の企業が「今後の増員」を予定しており、
外国人材の活用が人手不足対策として現実的な選択肢と
なりつつあることがわかった。
【画像】「えぇぇぇ!」 これが外国人ドライバーの
「採用実態」です!(計10枚)
背景にあるのは、日本の物流・交通インフラを支える
労働力のひっ迫だ。2024年4月に施行された自動車運転業務の
時間外労働上限規制により、年間の輸送能力は今後、
確実に減少する。一方で物量需要は増え続けている。
2024年度の宅配便取扱個数は前年度比0.5%増の
50億3147万個に達し、10年連続で過去最多を更新した。
今後もこの増加傾向は続く見込みだ。
この需給ギャップを埋めるために、企業が頼るのが外国人
ドライバーという構図だ。
外国人採用のジレンマ
しかし、この流れは一様に歓迎されているわけではない。
前述の調査によれば、外国人ドライバーを採用する
うえでの最大の不安要因は
「日本語でのコミュニケーション能力」(63.2%)
であり、次いで「日本の交通ルール・安全運転意識の理解」
(47.0%)が挙げられた。つまり、多くの企業が「即戦力」
としての期待と、「安全リスク」としての懸念の間で揺れて
いる構図が見える。
こうした不安を背景に、2025年10月には外国免許切替制度の
厳格化が施行された。これまで日本で運転できた外国人は、
一定の条件を満たせば簡易な手続きで日本免許に切り替えられた。
しかし新制度では、交通ルールの理解や実技試験の要件が
強化され、従来よりも取得難度が高まる。
企業の約7割がこの方針に「必要性を感じる」と
回答しており、理由として
・交通ルールの理解促進(69.1%)
・事故リスクの低減(49.4%)
が挙げられている。
だが同時に、「多様な人材の確保が難しくなる」(37.5%)
という懸念も強い。安全性の確保を優先すれば採用の
門戸は狭まり、人手不足の解消が遠のく。
逆に、採用を拡大すれば教育や監督のコストが増し、
経営効率を圧迫する。まさに安全と供給力の板挟みである。
短期コストと長期価値
では、企業はこの二律背反(二つの命題や選択肢が同時に
成立しえず、どちらかを選ぶしかない状況)を
どう乗り越えるべきか――。
外国人ドライバーの採用拡大をめぐる議論は、
人材政策だけではなく、
・労働生産性の最適化
・社会コストの最小化
をどう両立させるかという経済問題として捉える必要がある。
すなわち、安価な労働力として外国人材を導入するか、
訓練投資をともなう戦力として育成するかで、
企業の中長期的な収益構造は大きく変わる。
短期的にはコスト削減を目的とした採用が進むが、言語や
安全教育への投資を怠れば、事故やトラブルによる
社会的損失が増大するリスクがある。
その反面、制度化された教育プログラムを設け、交通文化を
共有できる環境を整えれば、長期的には
「持続可能な輸送力」
としての価値を生む。このトレードオフをどう解くかが、
いま問われている。
教育投資と長期リターン
まず、経済合理性の観点から整理しよう。
企業が外国人ドライバーを増員する理由は「賃金コストの抑制」
だけではない。人材の流動性が高い外国人労働市場を
活用することで、需給変動に柔軟に対応できるという
リスクヘッジ効果がある。とくに季節変動の大きい物流や
旅客分野では、一定の経済合理性がある。
一方で、教育コストは確実に上昇する。
例えば、外国人ドライバー向けの安全研修や交通ルール講習を
設ける場合、ひとりあたり年間5~10万円程度の教育費が
発生するとされる。これを従業員全体に適用すれば、
企業負担は無視できない。
しかし、事故発生率を1%でも下げられれば、保険料や
損害補償などの社会的コスト削減効果はそれを上回る。
教育への初期投資は、事故リスク低減による
長期的リターンとして理解すべきだ。
さらに、言語面の課題はテクノロジーで補完可能である。
近年ではAI音声翻訳機や車載タブレットによる
多言語対応ナビゲーションの導入が進み、指示や安全警告を
多言語で即時に伝えられる。
こうしたデジタル補助による、理解の非対称性の解消が、
外国人ドライバーの現場定着率を高めるカギとなる。
制度面では、2024年の「特定技能」拡大により、
自動車運送業が正式に対象分野に加わったことが重要だ。
これにより、長期就労が可能となり、企業は短期契約ではなく
中期的な人材育成計画を立てやすくなった。
つまり、外国人ドライバーを補助要員から「中核戦力」へと
位置づける条件が整いつつある。
経済の視点から見れば、外国人ドライバーの増員は輸送の
供給弾力性を高め、価格上昇圧力を抑える効果も持つ。
とくに都市圏の配送網では、人件費高騰が運賃転嫁に
直結しており、外国人労働の活用は消費者価格の安定に
寄与する可能性がある。
ただし、これを企業間競争の
「低賃金化レース」
にしてはならない。賃金と安全を両立させた上で、
社会全体の輸送コストを下げる方向に誘導できるかどうかが、
政策・業界双方に求められる。
教育・技術・制度の連動による競争力
最後に問いたい。
外国人ドライバーの増員は避けられない現実だ。
しかし、人数合わせだけとして進めるか、それとも教育・
技術・制度を連動させ、輸送効率向上、事故リスク低減、
人材定着率改善、さらには消費者価格の安定など具体的な
競争力を生む戦略として位置づけるか――その選択が、
企業だけでなく社会全体に問われている。
短期的には、教育や研修への投資はコスト増となる。
しかし、制度化された研修や多言語対応ナビゲーションなどの
技術活用を通じて、長期的には「持続可能な輸送力」
としての価値を生むことが可能だ。
さらに、交通ルールの徹底と安全文化の共有により、
事故リスクや社会的コストも低減できる。
企業は労働力の補填としてだけ外国人材を導入するのではなく、
戦力化による中長期的な収益改善を視野に入れる必要がある。
同時に、利用者としての私たちひとりひとりの受容力や
安全意識も、この選択の成否に直結する。
今まさに問われているのは、誰が運ぶかだけでなく、
どう運ぶ社会をつくるかだ。安全・効率・多様性を
両立させるために、教育・技術・制度を連動させた
戦略的な人材活用が、輸送産業の新たな競争力へのカギとなる。
【引用元:Merkmal】
https://carview.yahoo.co.jp/news/detail/636e367637bc8cb3b9ff23e043696312f4603903/
文化の違いが大きくクオリティの差が激しいので
私はお勧めしないです。
大事に至る可能性も高いと考えリスクも考えると
厳しいかなと考えます。

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