物流危機で「運賃値上げ」に怯える荷主!

Logistics-issues.jpg 物流2024年問題

適正価格かどうかを心配する前に、本当に大事なことを見失っていないか?

運送会社・荷主それぞれの役割

「物流の2024年問題(以下、2024年問題)」を筆頭とする
物流クライシスは、もはや業界だけの課題ではなく、
社会全体の課題となった。問題解決は容易ではないが、
それでも、全てではないにせよ、解決への道筋は見えてきている。

理由のひとつは、先日(2023年10月6日)岸田内閣が
発表した「物流革新緊急パッケージ」などが徐々に具体化
しつつあることだ。また、荷主(メーカー、小売、卸など)と
運送会社の役割が明確になってきたことも非常に大きい。

・運送会社:経営健全化とトラックドライバーの収入アップを実現する
・荷主:運送のみならず物流全体の効率化と省人化に責任を持って取り組む

これまで何十年も、日本社会は、

「物流改善の責任は、(運送会社や倉庫会社などの)物流企業にある」

と一方的に押し付け、荷主の果たすべき責任を公には
認めてこなかった。この役割分担が明確になったのは、
2024年問題の“数少ない功績”であろう。
これにより、運送会社は荷主との運賃交渉が容易になった。

だが困ったのは、荷主である。

「もはや荷主としては、運送会社から運賃値上げを要請されたら、
ゼロ回答で断るという選択肢はありえません。トラックGメンに
通報されたり、公正取引委員会から指摘を受けたりして、
揚げ句の果てに社名公表までされてしまったら、社会的なダメージが
大きすぎますから。ただし……要請された値上げが本当に適切なのか
どうかは、どうやって判断すればいいのでしょう」

それはそうだろう。もちろん、ここぞとばかりに吹っ掛けるような
運賃値上げについては、荷主も受け入れる筋合いはない。
だが、特に中小運送会社にありがちな勘と経験に頼った、
あるいは相場感に基づく値付け――原価計算などを行っていない、
「場当たり的値上げ」と呼ぼう――をもとにした運賃値上げも悩ましい。

「すいません、3か月前に値上げさせてもらったばかりですけど……
この値上げだと、まだ赤字を脱していないので、さらに運賃を
値上げさせてもらえないでしょうか」

場当たり的値上げは、何度も行われる可能性があるからだ。

荷主の物流担当者だって、社内稟議(りんぎ)を通したり、
あるいは関係各所と調整したりした上で受け入れた
運賃値上げである。そう頻繁に値上げをされたら、
たまったものではない。

荷主の運賃値上げの適正判断方法

さて、運送会社が運賃の値上げを要求した場合、荷主はその運賃が
妥当かどうかをどのように判断すればよいのだろうか。
これには、いくつかの方法がある。

まずは、
「複数の運送会社における運賃を比較する方法」
だ。おそらく、適正な運賃を知りたい荷主にとっては
これが最初の選択肢だろう。だが、一部の荷主からは、
「複数の協力会社が値上げを要求しているが、提示された
運賃には幅があり、どれを参考にすればいいのかわからない」

といった声も聞こえてくる。この原因は、そもそも運送原価計算を
きちんと行っている運送会社がまだ少ないことに起因する。

国土交通省は2023年5月、
「『標準的な運賃』に係る実態調査結果」を発表した。
「標準的な運賃」については後述するが、全国の運送会社を
対象に行ったこの調査において、「原価計算を実施した」と
回答した運送会社は、全体の79%である。

一方、東京都トラック運送事業協同組合連合会が2023年10月に
発表した「第39回『運賃動向に関するアンケート調査結果』」
では、「全保有車両の原価把握をしている」と答えた運送会社は
33.1%にとどまり、「一部車両の減価把握は行っている」が
41.6%になっている。「全車両」と「一部車両」の合計は、
74.7%となり、国土交通省の調査結果に近しいことを考えると、
信頼に値する、つまり全車両の原価計算を行っているのは、
「3社に1社くらい」なのだろう。
複数の運送会社の運賃を比較することは、どの運送会社の運賃が
本当に適正なのかを判断することが難しく、1社や2社といった
限られた数の運送会社としか付き合いのない荷主にとっては、
「複数の運送会社における運賃を比較する方法」も精度が低くなる。

「標準的な運賃」の課題

次に考えられるのは、国土交通省が2020年4月に発表した
「『標準的な運賃』と比較する方法」である。「標準的な運賃」は、
先の「『標準的な運賃』に係る実態調査結果」でも、48%の運送会社が、

「(荷主に)標準的な運賃を提示している」
「標準的な運賃を考慮した自社運賃を提示している」

とある。約半数の運送会社が「標準的な運賃」をベースに運賃交渉を
しているというのだから、適正な運賃の相場感を把握する参考として
十分だろう。ただし、「標準的な運賃」を参照する方法にも課題がある。

・運賃は3年前に発表されたもので、現在の相場とは乖離(かいり)
している可能性がある。
・発表時から実勢運賃
(荷主と運送会社の価格交渉によって決定される運賃)
とかけ離れた高値となっており、より安い運賃を求める
荷主のニーズと乖離している。
・2023年10月に岸田内閣が発表した「物流革新緊急パッケージ」
では、年内に「標準的な運賃」のアップデート版を発表すると
しており、近い将来、再び値上げ交渉の材料にされる可能性がある。

となると、最も現実的なのは、運賃値上げ交渉を行ってきた
運送会社自身に「あなたの会社の原価構造はどうなっていますか」
と尋ね、その妥当性を判断することである。この方法であれば、
具体的な金額をもとに、運送会社、荷主双方が適正な利益配分を
取り決めることができる可能性がある。

一見、理想的な方法だが、この方法の課題は、運送会社が荷主に
自社の原価や原価構造を明らかにする義務も義理もないことだ。
そもそも、限界まで運賃を買いたたいてきた荷主であれば、
「あなたの運送原価を教えてくれ」といわれても、協力する
運送会社はないだろう。

大企業との協力モデル

「要請された値上げが本当に適切なのかどうかは、どうやって
判断すればいいのでしょう」

このように悩む荷主がまず行うべきは、原価計算をきちんと
行っている運送会社を選ぶことである。実はこれ、原価を
直接尋ねなくとも、

「この運賃値上げを了承したら、ドライバーさんの収入はいくら
アップするんですか」

といった質問を運送会社にすることで、きちんとした経営計画を
立てているのかどうかがわかる。だが問題は、前述のように
原価計算を行っていない(行えていない)運送会社が多いことである。

現在、国内には6万3000社強の運送会社がある。うち75.9%は
従業員が20人以下である。このような中小の運送会社は、
どうしても経営能力が不足しており、その結果、原価計算を行えていない。

実は、荷主のなかには、

・原価計算の方法
・見積もりの算出方法
・荷主との運賃交渉の方法

など、提携している運送会社に営業や経営に関する講義を
行うことで、パートナーシップを築いているケースもある。

「運送会社って、中小企業が多いじゃないですか。だから率直に
いえば財務管理が甘く、経営が脆弱(ぜいじゃく)な会社も多いです。
これは、私たち荷主がフォローできる部分でしょう」

これは、筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)が10数年前に
出会ったメーカーA社の物流担当部長の言葉である。

A社は工場に隣接する土地にトラック駐車場と事務所を設置した。
自社輸送を担う運送会社が利用できるようにするためだ。
しかし、それだけではない。原価計算の方法だけでなく、

・正しい見積書の作り方
・経理のいろは
・営業の方法

など、経営者向けのレクチャーも定期的に行っているというのだ。

「もちろん、原価計算の結果は教えてもらいますよ。
ウチだってボランティアじゃないですから。でもそれ以前に、
パートナーである運送会社にはきちんとした経営をしてもらって、
ドライバーにも相応の給料を払ってもらう必要があります。
ウチ(A社)以外の荷主ともきちんと運賃交渉を行ってもらい、
末永くウチの荷物を運んでもらわないと……」

と物流担当部長は語っていた。

大企業であるA社には、経営に対するノウハウがある。
これを惜しみなく開示することで、継続的なパートナーシップを
運送会社と築いていこうというのだ。

「要請された値上げが本当に適切なのかどうかは、どうやって
判断すればいいのでしょう」

という荷主のなかには、いまだにギリギリまで、
つまり“生かさず殺さず”のレベルまで運賃を買いたたこうという
意識から脱却できない荷主もいる。

運送会社との大切なパートナーシップ

これから2024年問題などの物流クライシスによって発生する、
トラック輸送リソースが減少していく社会において、真に荷主が
考えるべきは、ギリギリまで運賃を買いたたくような、
「見せかけの物流改善」を続けることだろうか。

それは大間違いだ。荷主がまず行うべきは、

「運送会社の確保」

である。そして、そのために大切なのは、運送会社と良好な
パートナーシップを築くことだ。良好なパートナーシップを築いた
運送会社とであれば、ある程度は腹を割って値上げや原価の話も
できるはずだ。

少子高齢化で就労可能人口が減り続ける日本社会において、
もはやトラックドライバーが増加する可能性はない。つまり、荷主は

「運送会社から選ばれる荷主」
になる以外に生き残る道はないのだ。
荷主の物流担当者が、運送会社から提示された運賃の値上げ額を
気にするのは、立場上致し方ないことかもしれない。本稿前半で
述べたような技術的な対策も必要である。
しかし、本当に大切なのは、運送会社と気持ちのつながる大切な
パートナーシップを築くことである。

もちろん、全ての協力会社と「気持ちでつながる」関係を築けと
いっているわけではない。そもそも無理だ。緊密なパートナーシップを
持つ運送会社の存在が、運賃問題だけでなく、2024年問題を筆頭と
する物流クライシスを乗り越える上で、きっと役立つはずだ。
また厳しいいい方になるが、この考え方の価値がわからない
荷主の物流担当者は、運賃うんぬんの前に、

「本当に悩むべき問題が何なのか」

一歩引いて考え直すことも必要である。
【引用元:Merkmal】
https://carview.yahoo.co.jp/news/detail/33cb0b2408a4b1f0ad4d56cc473cb95e30046c49/

両者ともに協力して乗り越えていかなければなりません。
双方ともに自社の利益のみを考えていれば
明るい未来流行ってきません。
衰退の一方です。
適正価格での運用をするためには問題点を明確にして
無駄を削減していく必要があります。
その点を考えずに今まで通りにやっている
企業は衰退しかありませんのでしっかり現状の見直しと
改善をしていきましょう。

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