九州北部の経済発展を阻害?
西九州新幹線・未整備区間に新提案
着工の見通しが立っていない西九州新幹線(武雄温泉~長崎間)の
未整備区間について、与党内で「佐賀駅南側」ルート案が浮上している
ことを新聞各紙が報じている。
これまで、国土交通省が提案した佐賀県内を通る三つのルート案の
なかでは、新鳥栖(とす)駅から佐賀駅を経由する「佐賀ルート」が
最適とされていた。これに対して、与党内で浮上した案は、
次のようなものだ。
・新鳥栖駅で九州新幹線と分岐
・佐賀駅と佐賀空港を結ぶ
・経路は複数の可能性を含めて検討
・佐賀市南部に新駅の設置を想定
これまでの国交省では、福岡県南部に位置する筑後船小屋駅から
分岐し、佐賀空港近くを通る「南回りルート」が検討されている。
このルートは軟弱地盤の問題があり実現困難とされている。
一方、佐賀県の山口祥義(よしのり)知事は佐賀空港や
有明海沿岸道路との連携が期待できるルートであるとしてきた。
新ルート案は、佐賀県の姿勢に一定の配慮を示したものといえるだろう。
福岡空港の混雑の弊害
もしも佐賀空港近くを通る新ルート案が実現すれば、佐賀空港は
福岡空港(福岡市)を補完する空港として需要が高まると予測される。
福岡市はアジア主要都市との経済的な結びつきにより、持続的な成長を
遂げている。しかし、その発展のボトルネックとなっているのが、
「福岡空港の混雑」である。
福岡空港は市街地に隣接しており、アクセスは便利だが、
運営上の制約も大きい。特に、騒音問題を避けるために運用時間が
午前7時から22時までと制限されていることが、しばしば欠点として
挙げられる。この制限により、出発遅延や門限を過ぎると飛行機が
引き返すなどの問題が頻発している。
福岡空港の発着回数は、2012(平成24)年に処理容量の14万5000回を
超える15万1000回(104%)に達し、翌2013年には
16万7000回(115%)に増加した。この混雑状況を受けて、2016年には
新規就航に国土交通大臣の許可が必要な
「混雑空港」
に指定された。これに対処するため、福岡空港では第2滑走路の整備を
進めており、2024年の完成を目指している。この整備が完了すれば、
就航数の増加が見込まれるが、ふたつの滑走路間隔はわずかに
210mであり、同時進入・同時出発(オープンパラレル)運用は
不可能である。このため、滑走路1本の時と比べて発着数は
1.5倍程度の増加にとどまる。
2018年時点の計画によると、福岡空港は将来的には国内外合わせて
「100路線」まで拡大することを目指している。
しかし、24時間運用の羽田空港
でさえ105路線である。さまざまな制約のある福岡空港が、
それだけの路線を扱えるかどうかは未知数だ。
北九州空港・佐賀空港のポテンシャル
そこで、福岡空港を補完する役割が期待されているのが、
・北九州空港
・佐賀空港
である。
しかし、両空港の利活用は、まだ限定的だ。2023年11月現在、
国際線では、北九州空港がソウル便(毎日運航)、佐賀空港が
上海便(月・金)、ソウル便(月・水・金・日)、台北便(日・木)の
計3路線を運航しているだけだ。
両空港は福岡空港の混雑緩和に重要な役割を担っているが、
現状ではその機能を十分に果たしていない。これは主に、両空港と
福岡市間のアクセスが不十分なためである。
北九州空港はJR小倉駅から約15km離れており、空港までの
鉄道路線が整備されていない。空港から最寄りのJR朽網(くさみ)駅
まではバスで17分の距離にあり、空港アクセスの役割を果たせていない。
そのため、主要な交通手段はバスでとなっている。空港からバスを
利用した場合の所要時間は、
・小倉駅まで:最速33分
・福岡市内の天神・博多まで:70~90分だ。
一方、佐賀空港も主要な交通手段はバスだ。
福岡市内の天神・博多まで直通するバスは上海便の運行日のみに
運行され、所要時間は「100~120分」となる。
その他の曜日はJR佐賀駅から高速バスで天神まで80分、
在来線で博多まで特急を利用して40分かかる。
福岡空港が地下鉄を利用して博多駅まで
最短6分(国内線ターミナルから)であることを考えると、
利便性は極めて低い。
北九州の新駅構想
このアクセスを改善する手段が「新幹線」である。
北九州市においては、
・日豊(にっぽう)本線に「空港口駅」を新設する案
・新線の建設
というふたつの主要な構想が存在する。
特に新線建設については、空港と小倉駅の間に位置する
足立山の下を通るルートが望ましいとされている。
この新線には用地買収費がほとんどかからず、10年以内の
建設が可能なためだ。北九州市では、この新線に新幹線を導入すれば、
・小倉駅から:最短7分
・博多駅まで:最短23分
で結ぶことができるとしている。
前述のとおり、佐賀空港では国交省が検討した西九州新幹線の
「南回りルート」が存在する。国交省の資料によれば、このルートで
博多~佐賀間は26分とされている。今回の与党案では、新幹線は
佐賀空港に直結しないものの、空港と福岡市を結ぶ有望なアクセス
路線が生まれることが期待される。
しかし、佐賀県は、いまだに新幹線を拒否する態度を崩していない。
拒否の理由は、
・フル規格新幹線の建設にともなう高額な負担
・赤字が予想される並行在来線の維持
が必要になるためだ。佐賀空港のアクセス向上が、佐賀県の
方針変更の十分な理由となるかは疑問だ。
実際、国交省が実施したヒアリングでも、「南回りルート」
については否定的な意見が多く寄せられている。というのも、
アクセス改善によって空港利用者の増加が見込めるとしても、
それは新幹線を利用した福岡市内との往来に限られ、空港周辺の
ホテルや商業施設の新設、観光客の増加にはつながらないからだ。
新幹線と地域経済
確かに、北九州空港と佐賀空港を新幹線で結ぶことは、
福岡空港の混雑緩和には有効な手段である。
しかし、新たな与党案でも、佐賀県が拒否している理由を
解消することはできていない。なにより、地域で、新幹線の
経済効果に懐疑的な見方が強い。
福岡空港の混雑緩和のために北九州空港と佐賀空港を
利活用するという方針は、ともすれば
「福岡市が一方的に利益を得る」
だけになる。各地域の経済発展への寄与を示すことができなければ、
その実現は難しいと考えられる。
三つの空港の連携で、九州北部が総体的に利益を得られる
具体的な提案は欠かせない。
【引用元:Merkmal】
https://news.yahoo.co.jp/articles/91586c06653318b382977e00a52ce37f758b26ac
福岡空港は利便性が高いので混雑しますよね。
福岡空港と博多駅が近距離であることが大きいですね。
大阪は空港から新大阪駅までは距離がありますし、
東京も同じく距離があります。
主要都市はは空港が海岸部や都心部より離れたところに
あるのが通常です。
福岡空港は都心部すぐそばにあるので公共機関の
アクセスは便利です。その反面、福岡空港の影響で
福岡市内及び近郊には高層ビルやマンションが
建てれないデメリットはあります。
出張が多い人には福岡は便利かと思います。
ごはんも美味しく中州もありますから(笑)
北九州空港の利便性が上がることは賛成です。
それにより便も増えたらgoodです。
混雑を避けるために利用する人が増えると思います。
私もその一人になります(笑)

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