【やさしく解説】阪神大震災はどんな災害だったのか

通電火災、タンスが凶器に―教訓を振り返る #知り続ける

 兵庫県を中心に大きな被害をもたらした、1995年1月17日の
阪神淡路大震災から30年を迎えました。
最大震度7の激しい揺れが早朝のまちを襲い、建物の倒壊などによって
6434人が犠牲となりました。電力復旧が原因で起きる「通電火災」や
家具の下敷きによる死亡といったリスクは、この地震をきっかけに
初めて広く知られるようになりました。改めて被害の特徴や教訓を
振り返り、残された課題を探ります。
(時事ドットコム取材班 川村碧)

【ひと目で分かる】阪神淡路大震災の教訓と課題

◇初の震度7、「体が浮いた」証言も

 3連休明けの火曜日で、多くの人がまだ寝ていた午前5時46分、
神戸市を中心に激しい揺れに襲われました。
震源地は淡路島北部で、マグニチュードは7.3。震度7を記録したのは
観測史上初めてのことでした。

 企業や行政機能が集中する都市部を直撃した「直下型地震」。
わずか数十秒の揺れで、高速道路やビル、住宅が倒壊し、水道・ガスなどの
ライフライン網が破壊されました。
当時の住民は「下から突き上げられて、体が浮いた」と揺れのすさまじさを
証言しています。

 6434人が犠牲となり、負傷者は4万3792人に上りました。
約24万棟の住宅が全壊、半壊となり、兵庫県内では約31万6000人が
避難生活を余儀なくされました。

◇8割が「窒息死・圧死」

 地震被害を直接受けて亡くなった人の約8割が窒息死や圧死でした。
自宅の倒壊に巻き込まれてがれきや家具の下敷きになったケースが多く
、特に1981年以前の古い耐震基準で建てられた木造家屋に被害が集中。
犠牲者の半数は高齢者でしたが、大学が多い地域ということもあり
20代の死亡率の高さも指摘されています。

 道路や水道・ガスといった「生活インフラ」も大きく被災。
阪神高速道路が635メートルにわたって横倒しになった光景は
人々に衝撃を与えました。主要な高速道路や国道が通れず、
渋滞も起きたため救助や支援物資の配送に影響しました。
兵庫県内では、電気は約1週間で復旧したものの、ガスや水道は
復旧に3カ月近くかかりました。

◇電力復旧で火事に、消火追い付かず

 地震発生直後から、揺れが激しかった地域を中心に火災が発生し、
約7500棟が焼損しました。木造家屋が密集し、人手や水の不足で
消火が追い付かなかったこともあり、大規模な火災につながりました。

 火災の半数以上は地震直後に起きましたが、残りは時間がたってから
出火したことが判明。電力が復旧した際に、電気ストーブなどから
出火する「通電火災」が原因とみられ、大震災をきっかけにリスクが
知られるようになりました。

◇避難者31万人、プライバシーなく

 避難所には、ピーク時で約31万6000人が身を寄せました。
体育館や教室のほか、廊下にも人があふれ、床で雑魚寝状態。
プライバシーを守ることは難しく、慣れない共同生活で被災者は
ストレスを抱えました。水が流れないトイレには排せつ物がたまり、
感染症の原因に。トイレに行かなくて済むように食事や水分を控えたり、
体を動かさなくなったりしたことで健康状態が悪化した人も多かったのです。

 地震当日の昼頃には、被災自治体に支援物資が届き始めましたが、
人手や保管場所の不足で仕分けができず、山積みとなりました。
一方で、避難所にはわずかな食料や物資しか行き渡らず混乱。
炊き出しや食料の分け合いなど住民同士の協力で乗り越えた
場面もありました。

◇教訓はどう生かされているのか

 阪神大震災は、見過ごされていた災害時のリスクを
浮き彫りにしました。30年後の今、教訓はどのように生かされ、
いまだに残る課題はなんでしょうか。

(1)耐震化、家具の固定が一般的に

 建物の崩壊が多くの命を奪ったことを踏まえ、震災後には、
耐震改修促進法で1981年以前に建てられた病院や学校などに
耐震診断が義務付けられました。国土交通省によると、
一般住宅の耐震化率は2018年時点で約87%に上るものの、
約700万戸は耐震性が不十分と推計。耐震化が進まない事情として、
手間や費用の問題から高齢住民が対策をあきらめている場合があり、
ハードルを下げる取り組みが必要とされています。

 住宅自体が無事でも、タンスや本棚が倒れてけがをしたり、
避難路がふさがれたりしたケースもありました。
激しい揺れによって家具が凶器になるリスクが広く認識され、
大型家具を壁に固定することや、倒れる危険性のあるタンスなどは
寝室に置かないことが呼び掛けられるようになりました。

(2)身近な「通電火災」防ぐには

 出火原因が分かった火災の約6割が電気によるもの。
電力が復旧した際に、倒れた電気ストーブや損傷した電源コード
などから発火したとみられています。電化製品に囲まれて暮らす
私たちにとっては身近なリスクといえ、実際に東日本大震災でも
火災の原因となりました。

 電気はガスと異なり、地震が起きても自動で止まる仕組みではなく、
住民の対策が求められます。一定の揺れを感知すると自動で電気を
遮断する「感震ブレーカー」の設置が解決策のひとつ。
マンション・戸建て向けに、ブレーカー付近に取り付ける簡易タイプや、
分電盤工事が必要なタイプなどがあり、費用は3000円~8万円ほどです。
ただ、2022年の防災に関する国の世論調査によると、
大地震への対策として感震ブレーカーを設置している割合は
5.2%にとどまり、認知度不足がネックとなっています。

(3)避難所、どう変わった?

 阪神大震災やそれ以降の災害の教訓を踏まえ、避難所では間仕切りや
テントで被災者のプライバシーを確保する取り組みが広がっています。
冷えや感染症の予防として段ボールベッドの導入も進み、
保健師らが巡回して避難者の体調変化を見逃さないようにしています。
国は自治体に対し、食料や携帯トイレ、紙おむつといった必需品は
避難所に備蓄するように求め、アレルギー対応食品も
用意されるようになりました。

 改善は進んでいるものの、不衛生なトイレや栄養の偏った食事が
続くことは近年の災害でも繰り返し起きています。
被災後に生活環境の悪化やストレスが原因で亡くなる「災害関連死」は
阪神大震災で初めて認められた概念ですが、その後の災害でも
後を絶ちません。

 イタリアでは、過去の災害の教訓をへて災害発生後、速やかに
トイレや温かい食事、ベッドを被災者に届ける仕組みを国が構築。
日本も2024年1月の能登半島地震を踏まえた避難所の運営指針で、
「トイレは20人に1基」とし、避難所開設時から間仕切りや
簡易ベッドを設置することを自治体に促しています。
ただ実践できるかは自治体任せで、まだ課題は残されています。

(4)救助・医療で全国から力結集

 当時、被災地の消防隊だけでは救助活動に限界がありました。
そこで、大きな災害が起きた際は全国の消防隊が被災地に駆け付ける
「緊急消防援助隊」が1995年6月に創設されました。
発生後すぐにヘリや重機による捜索活動ができるようになり、
これまでに40回以上出動しています。

 また、地元の病院も被災する中、十分な医療を受けられず
亡くなった人がいたことを受け、国は2005年、大災害発生から
48時間以内に動ける「災害派遣医療チーム(DMAT)」を発足させました。
専門的な訓練を受けた医師と看護師、業務調整員による
少人数チームが治療に当たり、熊本地震などでも活躍。病院での混乱を
避けるために、けがの程度に応じて治療の優先度を決める
「トリアージ」の必要性も広まりました。

(5)「ボランティア元年」復興の力に

 被災地には全国からボランティアが駆け付け、避難所の運営や
炊き出しに奔走。1年間で延べ約137万人が活動し、
「ボランティア元年」と呼ばれました。一方、多くの人が初めての
ボランティアで、行政側も受け入れ経験がなかったため、
申し込みが殺到したり被災者ニーズとのずれが生まれたり、
さまざまな課題も見えました。

 その後に起きた災害では、被災地に「災害ボランティアセンター」
が設置され、被災者のニーズと個人ボランティアを結び付ける仕組みが誕生。
被災地に行く際に必要な装備や心構えも周知されるようになりました。

 しかし、被災自治体が外部からの支援をうまく活用する
土台づくりには課題が残ります。道路が寸断した能登地震では、
被災地入りを控えるよう石川県が求めたメッセージがSNSで拡散され、
ボランティアの自粛ムードが高まりました。県が受け入れ態勢を
整えた後も、ボランティアの活動は広がりを欠き、「細く長い支援」を
どう実現するかが問われました。個人ボランティアだけではなく、
被災地支援のノウハウがある専門ボランティアが復興への力となるため、
各ボランティア団体と行政の「顔の見える関係づくり」が
日頃から求められています。
 この記事は、時事通信社とYahoo!ニュースの共同連携企画です。
【引用元:時事通信】
https://news.yahoo.co.jp/articles/23c949d6b3ebb4d847773fecf0804f06c6b9a222

あれからもう30年になるのですね。
当時は中学生で地震の揺れで飛び起きてその強さに
恐怖したことを覚えています。
当時は大阪で住宅の4階に住んでいましたが
激しい揺れでした。
その後のニュースなどで見る神戸の状況は
今でも忘れることはありません。

この投稿を終え次第で黙祷します。

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